甲状腺能亢進症

甲状腺は頸部にある2葉の腺です。

甲状腺から産生される、甲状腺ホルモンは体内の多くの代謝経路に影響を与えます。一般的に、甲状腺ホルモンは、体の代謝率または代謝速度を調節します。

05甲状腺能亢進症の原因は?

甲状腺機能亢進症は歳をとった猫の病気で、甲状腺ホルモンの過剰産生によって起こります。甲状腺ホルモンの産生が増加する原因のほとんどが腺腫(良性腫瘍)で、悪性腫瘍は稀です。 

甲状腺能亢進症の症状は?

甲状腺ホルモンが過剰生産されたときの症状は、嘔吐、下痢、がつがつした食欲にもかかわらず体重が減ったり、頻繁にお腹がぐるぐる鳴ったり、喉の渇きや尿量が増えたり、絶えず落ち着かなかったり、頻繁に鳴いたりして声を出し、正常なグルーミング(毛の手入れ)をしなかったり、心臓の動きが速いなどが挙げられます。

心臓に与えるこの影響は強く、心肥大やうっ血性心不全(心臓のポンプ機能が損なわれた状態)をもたらします。 

病歴や臨床症状そして身体検査を行い、血液検査で甲状腺ホルモン濃度を測定することで診断できます

甲状腺能亢進症の治療は?

治療法は外科的治療と内科的治療があります。

もし腫瘍性の場合は腫瘍が片側の甲状腺のみに発生していれば、腫瘍化している甲状腺のみを切除します。

もし両側の甲状腺にみられれば、甲状腺全てを切除しなければならず、外科的切除後には合成甲状腺ホルモンを与え続けなければなりません。 

内科的には甲状腺ホルモンの産生を抑える薬の投薬と、ヨウ素を制限した食事を給与します。

甲状腺機能亢進症の猫の多くは慢性腎不全を併発していることが多いとされており、腎不全のケアも並行して行っていく必要があります。

甲状腺機能亢進症の症例

雑種猫 15

一年間で体重が1kg減った。嘔吐・下痢をたまにする。

 

もともと体重が5kgあったのですが、4kgを切るほどまで痩せていました。食欲もあり、活発なのに体重が減っており、身体検査では心拍数上昇、右側の甲状腺腫大が認められました。血液検査を行ったところ肝数値の上昇・甲状腺ホルモン上昇が認められたため、甲状腺機能亢進症と診断して治療を開始しました。

抗甲状腺薬であるメルカゾールの内服を始めて2週間後の血液検査ではまだホルモン値は高かったため薬を増量しました。

再検査ではホルモン値は正常範囲内におさまり、高かった肝数値も順調に低下していました。投薬前に出ていた症状も落ち着いています。生涯にわたる治療が必要なため、甲状腺ホルモンを定期的に測定していく必要があります。

関連の記事

  • 上皮小体機能亢進症上皮小体機能亢進症 上皮小体ホルモンの働きとは、血液中にカルシウムが不足するとカルシウムを骨から放出させ、血液中のカルシウムの濃度を上昇させます。    […]
  • 04甲状腺能低下症 甲状腺は頸部にある2葉の腺です。甲状腺から産生される、甲状腺ホルモンは体内の多くの代謝経路に影響を与えます。 一般的に、甲状腺ホルモ […]
  • 11a糖尿病 動物の体を構成する細胞は、体に取り込まれ蓄えられた糖分を血液から吸収して、エネルギー源として活用しています。 その際に血液中の糖分を […]
  • 低血糖症低血糖症 低血糖症とは、血中の糖分濃度が著しく低下してしまう病気です。 脳は血液中の糖分を唯一のエネルギー源として活動しているため、血糖値が低 […]
  • アジソン病(副腎皮質機能低下症)アジソン病(副腎皮質機能低下症) アジソン病は、副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)が不足することによって起こる病気であり、犬でしばしば認められ、猫 […]
  • 上皮小体能低下症上皮小体能低下症 上皮小体ホルモンは、血液中のカルシウムの濃度を上昇させるホルモンです。 血液中にカルシウムが不足するとカルシウムを骨から放出 […]
公開日:2014/10/24
更新日:
治療は光が丘動物病院グループへ
日本で数少ない「1.5次診療」をおこなっている当グループは、
大学病院に匹敵する獣医療の提供飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。

PAGE TOP