心臓の奇形

①心室中隔欠損症

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心臓の左右の心室の間にある「心室中隔」に穴があいている病気です。

穴を通して血液の圧が高い左心室から圧の低い右心室に血液が流入してしまうことで本来左心室から全身へ送り出される血液の量が少なくなってしまいます。猫で比較的多いとされています。

これは生まれつき持っている病気で、症状は穴が小さければ、ほぼ無症状で動物の成長に伴って穴がふさがる可能性もあります。

穴がある程度の大きさであれば咳、動きたがらない、発育不良がみられ、病態が進行すると血液循環が悪くなり体への酸素の供給が減少し、チアノーゼ(舌が青紫色になる)、赤血球増加症もみられます。

②動脈管開存症

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動脈管とは母親のお腹の中にいるときは、肺で呼吸をしていないため心臓に戻ってきた血液を肺に送る必要がなく、直接肺動脈から大動脈に血液が流れるための管です。

これが出生後も開いたままの病態を動脈管開存症と言います。管を通して圧の高い大動脈から圧の低い肺動脈に血液が流入してしまうことで肺、心臓(特に右側)に負担がかかってしまいます。

犬、特にコリー、シェルティー、M.ダックス、M.プードル、ポメラニアン、そして雌に多いとされています。

これは生まれつき持っている病気で、ほぼ無症状なものから咳、動きたがらない、発育不良がみられ、病態が進行すると、チアノーゼ(舌が青紫色になる)、赤血球増加症もみられます。

③肺動脈狭窄症

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肺動脈弁付近の血液が流れ出る部分が通常より狭いため血液の流れを妨げてしまう病態のことを肺動脈狭窄症と言います。

肺動脈に血液を送り出すために通常よりも大きな力を必要とするため、右心室の筋肉が肥大します。犬に比較的多く、特に小型犬種に多いとされています。

狭窄が軽度である場合はほぼ無症状で正常な寿命を全うできますが、狭窄が重度である場合は呼吸が苦しそう、おなかが張っている(腹水貯留)、あまり活発さがない等がみられ、心不全で突然命を落とす危険性もあります。

④大動脈狭窄症

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大動脈弁付近の血液が流れ出る部分が通常より狭いため血液の流れを妨げてしまう病態のことを大動脈狭窄症と言います。

大動脈に血液を送り出すために通常よりも大きな力を必要とするため、左心室の筋肉が肥大します。犬に比較的多く、特に大型犬種に多いとされています。

狭窄が軽度である場合はほぼ無症状で正常な寿命を全うできますが、狭窄が重度である場合は呼吸が苦しそう、咳が出る、あまり活発さがない等がみられ、心不全で突然命を落とす危険性もあります。

⑤ファロー四徴症

 

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・心室中隔欠損症
・肺動脈狭窄症
・右心室肥大
・大動脈右方騎乗

の4つの奇形が併発している病態をファロー四徴症と言います。症状として呼吸が速い、チアノーゼ、赤血球増加症、失神等がみられ、早期に命を落とすことがほとんどです。

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公開日:2014/10/24
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