犬の椎間板ヘルニアになっても手術をしなかった仔は?

犬の椎間板ヘルニアがもし自分の家の仔で発症したら?

手術を選択しない飼い主様もいる

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「手術で一刻も早く原因を取り除いてあげたい」と思う方もいれば、「麻酔をかけるのは絶対に嫌だ」と捉える方もいます。

確かに椎間板ヘルニアを発症してしまったすべての犬が、手術を無事乗り越えらる状況にあるかと言うと、そうでない場合ももちろんあります。

例えば、あまりにも高齢の場合、麻酔を代謝する肝臓や腎臓にすでに病気を患っている場合、そういった臓器以外にも様々な疾病を抱えている場合などが挙げられるでしょう。

そういった仔を抱えた飼い主様が、手術をしないと判断した場合、その後どういった経過をたどったのでしょう?いくつかの例を紹介します。

手術をしないと決断

まずは高齢であった場合です。

17歳という年齢で椎間板ヘルニアを発症。

確かに高齢です。いくら慎重に麻酔をかけたとしても、覚醒後になんらかの後遺症や健康面の変化が出てしまう可能性はないとは言えないでしょう。

飼い主様は十分長生きしてくれている我が仔に対し、術後の痛みや麻酔の負担をかけてまで元通り歩けるようになってもらいたいとまで考えませんでした。

「病気」なのか「老化」なのか?

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なぜなら、それは一つの「老化現象」であると捉えたためです。

老いて行く体の一つの変化として出てきた症状であり、後ろ足が立たなくても、充分に介護して余命を全うさせてあげようと決心されました。

手術がすべてではありませんし、何がその仔にとって負担であり、何が命を短くするきっかけになるかはわかりません。

私達も納得し、その仔の生活に苦しみや不具合がなるべく少なくなるような治療を提示させていただきました。

その仔が天寿を全うするまで、症状の改善は見られませんでした。

しかし飼い主様はそのことについて後悔はされていない様子でした。

健康面は問題ない、だけれども…

次は飼い主様のご事情もあり手術の決断を伸ばしたケースです。

飼い主様は海外への出張も多く、イヌと過ごす時間が多いとは言えない方でした。

かと言って愛情が薄いということではありません。非常に愛情をもって一緒に暮らしていたと思います。

その仔が15歳の時、椎間板ヘルニアが発症。

今まで大きな病気はなく、離れている時間が多くても飼い主様の手を煩わせることのないとてもいい子だったそうです。

症状は「手術を即行いましょう!」とまでは出ていませんでした。

自力で立つことはできませんでしたが、反射はまだすべて消えているわけではなかったのです。

しかし早く手術をすれば、その分早い回復も望める状況です。私たちは現状で一番だと思える治療法は外科手術でしょうとお伝えしました。

しかし、飼い主様は内科治療で回復が望めないか試したいという意志が強かったのです。

「一人で苦しませたくはない」

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それはもし手術をしたとしても、その間やその後をしっかりと飼い主様が面倒を見れる状況ではなかったからです。

お仕事が忙しくスケジュールの調整も難しい為、その仔が苦しんでいる時に傍に居てあげられないからというのが飼い主様の決心された理由でした。

その後内科治療を3か月ほど続け、神経反射の回復は徐々にですが回復の兆しが見えてきました。

とはいっても、自力で立ち上がること、歩くことはできません。

それでも飼い主様もご自身の判断を後悔されてはいませんでした。

後悔しない選択

ワンちゃんやネコちゃんを取り巻く環境はこの数年でかなり変わってきています。

飼い主様も獣医師の決断に任せる方もいらっしゃれば、ご自身でしっかりと判断される方もいらっしゃいます。

手術が適応だと判断される場合において、手術をしないと決断された仔の経過は、やはり良くありません。

しかしながら、そこには「手術をする、しない」以上の重要な要因が存在することが多々あります。

私たちはそういった事情も含めて飼い主様に寄り添い、その仔と飼い主様にとってベストな医療、時にはサービスを提示できることを目指しています。

椎間板ヘルニアにかかわらず、大きな病気と向き合うことになってしまった場合、親身に相談できる動物病院が身近にあると心強いですよね。

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