犬の陰部から膿?子宮蓄膿症と手術
子宮蓄膿症、もしくはパイオメトラという病名を聞いたことがある人は少なくないかもしれませんね。
未避妊、高齢犬は要注意です。
避妊手術をしていない女の子に多く、特に中高齢になるとかかるリスクは少なくなります。
子宮の中に膿が溜まってしまう病気ですが、子宮は赤ちゃんが育つところなのでとても柔軟な組織です。
小さな体ににあわず、とても大きく広がってしまう臓器なので、いったん膿が溜まりだすと水風船のように膨らんでどんどん膿が溜まってきます。
この膿も細菌の塊なので、体への悪影響が出てきます。
子宮蓄膿症、初めの症状は?
最初は元気が無かったりといったことから始まって、吐いたりぐったりしてきます。
時には陰部から膿が出る場合もあり、この時に異常に気付く飼い主様もとても多いです。
命にかかわるほど危険な状況にまで陥ってしまう仔も多く、この病気になった場合、第一の選択肢としては「外科手術」となります。
どこまで病状が進んでいるかによって手術のリスクは変わってきますが、中にはたまりすぎて子宮が破裂し、膿がお腹の中に漏れ出てしまっている場合もあります。
手術は慎重に進められます
手術は大きく膨らんだ子宮を安全に取り出すため、やや大きめに開腹します。
お腹の中で大きく膨らんでいるため、メスや剪刀で傷つけないよう慎重に開腹します。
助手がいる場合は協力しながら破裂しないよう慎重に子宮を取り出し、子宮へと栄養を送っている大きな血管を縛って止血し、卵巣と共に摘出します。
この際、子宮に小さな穴が開いていたりしていないか確認します。
もしも膿がお腹の中に漏れ出ていたりすると、細菌がお腹の中に広がり腹膜炎を起こしてしまいます。
また、もし漏れ出ていた場合は、体温ほどに温めた生理食塩水で丁寧に腹腔内を洗浄します。
手術が無事終わっても安心できない
閉腹し、麻酔から無事覚醒した後も慎重に経過を見ていく必要があります。
体の中に長い間膿を溜めていたため、摘出したからと言って体調がすぐに戻るわけではありません。
抗生剤を使いながら点滴をして入院管理となるでしょう。
高齢だからこそリスクが付きまとう
高齢で発症することが多いので、心臓に疾患を抱え始めている仔であったり、その他ホルモン疾患など様々な病気を抱えている状況で手術をしなければならない仔も多いです。
そうならないためにも、若いうちに避妊手術をおすすめしています。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。