異物誤食のキーポイント その4

今回は最も厄介な腸内異物についてです。

最悪のケースがありえる「腸内異物」

このケースは飼い主様が見ていないところで何かを食べてしまったという場合が多く、症状が出てから病院にいらっしゃることとなり、経過が長くよりひどい状況を招きがちです。

中でも「変わったものは食べていない」という飼い主様の主張などがあると、季節性の胃腸炎などを疑って対症治療を希望されることもあり、より長引き症状が悪化するケースも見られます。

腸内異物は胃を通り過ぎ腸内で詰まってしまい、詰まった部分の腸が壊死したりするなどの状況を招きがちです。

腸内の異物を疑った場合は、レントゲン撮影をし影が映ってくるものがないかを調べ、それでも確認できない場合はバリウム造影で腸管内の食渣の流れを時間の経過とともに確認します。異物が詰まっていた場合は長時間同じ場所でバリウム剤が停滞するので、そこ時点で緊急の開腹手になるかの判断がなされます。

大幅に腸を切除する場合も…

経過が比較的早い場合は、腸の一部に切開を入れ異物を摘出するのみとなります。この場合が最も侵襲が少なくてすみます。

ただし厄介なのは異物が停滞していた場所に腸の壊死が起こってしまっている場合です。かなり大きな異物が胃から帳に落ちてしまった場合や、ひも状の異物を飲み込み、そのひもが腸を傷つけて広範囲に穿孔を起こすこともあります。

上記のような場合、傷付いた腸は切除し、正常な部分どうしを繋げる「腸の端々吻合」と言われる手術が行われ、手術時間が非常に長引くこととなります。

また、腸から漏れ出た糞便などにより腹膜炎を併発している場合などもあり、この場合は手術に耐えられる体力も削られていくのでより危険な手術となってしまいます。

何度も吐く、一度の治療で良化しない等の時は、必ず大事を取って積極的な検査に移るよう、かかりつけの獣医さんとよく相談しましょう。

 

公開日:2015/06/01
更新日:
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