胆嚢切除術のキーポイント
今回は珍しい症例、「胆嚢の切除術」について書かせて頂きます。
あまり聞きなれない手術の名前でもあり、当院でも数多くやる手術という訳でもありません。先日この手術を行った子がいたのでこちらでご紹介させて頂きます。
胆嚢(たんのう)とは
胆嚢とは肝臓の一部とも言っていい臓器で、肝臓で作られる「胆汁」という液体を溜めています。
胆汁は食べ物の消化にかかわるので、胆嚢から十二指腸へ分泌されます。人でも時々耳にしますが、胆石や胆泥といった異常を起こすことのある臓器です。
胆嚢にたまった胆汁を十二指腸に分泌するための胆管という管があり、そこが詰まったりすることで胆嚢が巨大化したり破裂することがあります。こういった症状が見られた場合、「胆嚢切除術」が行われたりします。
もちろん温存できればそれに越したことはないのですが、動物病院に来る時にはいよいよ調子悪くなってから来院される場合が多く、切除を選択するケースも少なくないと思います。
切除しなければならない状況だからこその難しさ
この手術の手技は、小さな小型犬であれば細かい作業になり難易度も増しますが、整形外科などと比べるとさほど難しいといった手術でもありません。
胆嚢にたまっている胆汁を腹腔内に漏らさないようにだけ気を付ければ、あまり時間もかからないうちに終わる手術です。
ただし、胆嚢に異常があるからこそ手術で摘出するわけなので、麻酔を安全に掛けられる状態にあるかどうかというところがキーポイントになります。
胆嚢の異常は肝臓の異常といっても過言ではなく、肝臓が異常であると麻酔を分解する能力に問題が生じているということにもなります。手術の手技以上に麻酔の管理や本人の体力のコントロールが重要になってきます。
大学病院に匹敵する獣医療の提供と飼い主様に徹底したインフォームド・コンセントしています。
大切な家族でお困りの際には、お気軽に相談ください。